S45C調質材相当の整理 調質と非調質鋼とMICA75とGNH55
19.靭性と強度
S45C調質材相当の非調質材は、S45Cの調質材より靭性、衝撃値が若干低下します。
問題ないレベルと思います。
強度や疲労強度は、S45Cの調質材と同等以上です。
18.直接切削引抜き用非調質棒鋼
引抜き用と説明があるので、MICA75をキーワードに検索すると、
ミガキ屋さんのページがヒットしました。
ミガキのS45C調質材は、MICA75なのだろうか?
MICA75の在庫を問い合わせると、「外径50mm以下」と回答が来るので、
黒皮を酸洗いして、ダイス通して、ミガキを作っているのでしょう。
17.非調質材の高周波焼入れ性
非調質材の説明に高周波焼入れ性が、出てきたり、なかったりします。
高周波焼入れ性を説明しているときは、「基本鋼より優れている」と、書いてあります。
説明していないときは、高周波焼入れ性は、ぼちぼち? 同等なのでしょう。
16.GNH55の硬度分布
全体的にHRC20程度です。
中心部が高めで、外側が低めです。
中心と外側の硬度さが大きいと、切削後は大きく曲がる?
硬度差が小さいと、切削後は曲がりが低くなる?
残留応力が大きいと、切削後は大きく曲がる?
残留が小さいと、切削後は曲がりが低くなる?
切削後の曲がり原因は不明ですが、非調質材は切削後の曲がりが少ないようです。
15.直径方向の硬度
直径方向の硬度差が少ないと、加工後の曲がりやひねくりが、減少するようです。
まっすぐ切削したつもりが、曲がって納品になる確立が低くなるのでしょうか?
きっと、曲がり不良が減る。
試してみますか?
曲がりは残留応力によって、発生する。
残留応力と直径方向の硬度差は、同じだろうか?
不明だ。
この説明は、間違っているかもしれない。
説明が間違っていても、結論は同じです。
非調質材の切削後の曲がりは少なくなります。
14.SMT75 125丸の硬度例
外側と中心部の硬度差です。平らとはなりませんが、それなりになっています。
13.SMT75 85丸の硬度例
外側と中心部の硬度差です。平らとはなりませんが、それなりになっています。
12.SMT75の呼び方
電話で問い合わせたり、注文したりするとき、問題が有ります。
言い方によって通じたり、断られたり、呼び方は重要です。
三菱製鉄的には、「直接切削用非調質材 SMT75」でしょうか?
材料屋的には、「エスエムテー75」でしょうか?
これで通じないときには、次の材料屋さんに問い合わせましょう。
11.SMT75の化学成分と機械的性能
化学成分(%)
C:0.42~0.48
Si:0.15~0.35
Mn:0.80~1.10
P:0.030以下
S:0.030以下
Cr:0.10~0.20
V:0.08~0.12
機械的性能
降伏点N/mm2 :440以上
引張強さN/mm2 :740以上
伸び%:17以上
硬さHB:217以上
10.GNH55の呼び方
電話で問い合わせたり、注文したりするとき、問題が有ります。
言い方によって通じたり、断られたり、呼び方は重要です。
合同製鐵的には、「非調質強靭鋼 GNH55]でしょうか?
材料屋的には、「ジーエヌエッチ55」でしょうか?
これで通じないときには、次の材料屋さんに問い合わせましょう。
9.GNH55の成分と機械的性能
化学成分(%)
C:0.40~0.47
Si:0.15~0.30
Mn:1.00~1.30
P:0.030以下
S:0.030以下
Cu:0.20以下
Ni:0.20以下
Cr:0.20以下
V:微量
Nb:微量
機械的性能
降伏点N/mm2 :490以上
引張強さN/mm2 :740以上
試験片:4号
伸び%:17以上
硬さHB:192以上
8.MICA75の呼び方
電話で問い合わせたり、注文したりするとき、問題が有ります。
言い方によって通じたり、断られたり、呼び方は重要です。
「ミカ75」、「住金のミカ75」、この辺で言うと通じるでしょう。
これで通じないときには、次の材料屋さんに問い合わせましょう。
7.MICA75の成分と機械的性能
成分(%)
C:0.38~0.56
Si:0.15~0.80
Mn:0.65~1.50
Cr:0.50以下
V:0.04~0.20
Ceq:0.60~1.20
Ceq.=C+Si/10+Mn/5+5Cr/22+1.65V-5S/7
機械的性能
降伏点(N/mm2):490以上
引張強さ(N/mm2):740以上
衝撃値(J/cm2):59以上
硬さ(HB):212から277
データ元
http://www.kokura.sumitomometals.co.jp/product/sumitomo/02_02.html
6.HMM45M 取り扱い終了
取引先で、大同特殊鋼のHMM45Mが手配ができなくなりました。
事情を聞くと、「鉄が足らないので、不人気鋼種は製造不可になりました」とか。
HMM45Mは、快削のS45Cの調質相当材なので、それなりのポジションでした。
S45Cの調質相当材がなくなると困る会社もあるので、他を調べることにしました。
5.SMT75の元
三菱製鉄室蘭特殊鋼株式会社 品証部技術サービス 技サ技術資料-001
直接切削用非調質材(SMT75 SMT90)を元に書きます。
4.GNH55の元
合同製鐵株式会社の非調質強靭鋼(GNH45,55,60)を元に書きます。
3.MICAの元
住友金属小倉さまのページを元に書きます。
http://www.kokura.sumitomometals.co.jp/index.html
2.S45C調質材相当の非調質材って?
熱処理屋さんで調質したS45C黒皮で問題が発生するときは、非調質材になります。
調質材と非調質材。紛らわしいですね。
調質して有る材料を調質材と言います。
「HRC20程度になっている材料は、調質材」と、普通は思います。
ところが、焼入れ焼戻しの調質をしないで、HRC20程度の強度と品質の丸棒が有ります。
「調質しないで」と言うことで、非調質材です。
調質が必要なS45Cは、S45Cの調質相当の非調質材を使用すると、熱処理費用と手間と時間が削減できます。使用してみますか?
今回はS45Cの調質相当の非調質材について、レポートします。
1.S45Cの調質材
S45Cを調質すると、HRC20程度になります。
S45Cの黒皮丸棒を調質しても、HRC20程度になります。
調質の品質は、熱処理方法により、良かったり、悪かったり。
不安がよぎります。
S45Cの黒皮丸棒を旋盤で粗取りして、熱処理屋さんで調質してもらう。
熱処理屋さんにより、違います。信頼できる熱処理屋さんに依頼しましょう。
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掲載以外は、問合せしてください。