PX5で溶接補修やってますか?
1.特徴
プラスチック金型も減るもの、かけるもの、割れるものです。そんな時には、溶接補修しますか?
材質によっては上手くやったつもりが、翌日ヒビが入ってたり、緊急材料手配になります。
緊急手配だと、値段が跳ね上がったり、覚悟の上の注文になります。
それでしたら、溶接補修が良好なPX5がお勧めです。
溶接性の抜群の品質です。また、PX5はHRC30~33(表面保障)のプレハードン材で、全プラスチック金型用途に使用できます。
また、機械部品又はジグで、SCM440Hを調質して使用するなら、PX5に変更するのも一つの方法です。
PX5のプラスチック型用鋼の位置
比較対照は、S55CとSCM440でしょうか?
2.素材形状
丸棒と平角棒が有ります。表面は黒皮です。
プレート品は大同アミスター様の特注スタープレートが有ります。
3.化学成分
化学成分非公開のため、不明です。多少、快削性向上のため、硫黄が入っているようです。
分類的には、SCM440系です。この為、S55CやSCM440と比較しているようです。
4.特徴、特性
4-1 硬度
PX5はプリハードン材と言う物で、大同特殊鋼様から出荷される段階で、HRC30~33(表面保障)の硬さです。
中心硬度は表面よりHRC1~2.5程度低くなりますが、良好なレベルになっています。
大同特殊鋼様から出荷後の、後熱処理品ではないです。
硬度(断面硬さ分布)
中心が少し凹んでいるでしょ。
4-2 引張強さと衝撃特性(代表例)
引張特性
詳細はカタログで確認してください。
表面と中心部で硬さのバラツキが少ないと、引張強さも違いが少ないです。常識でしょうか?
衝撃特性
詳細はカタログで確認してください。
4-3 鏡面仕上性
鏡面みがき概念図
4-4 熱膨張係数(×10-6乗/℃)
– | 30~100℃ | 30~200℃ | 30~300℃ | 30~400℃ | 30~600℃ |
PX5 | 11.9 | 12.7 | 13.1 | 13.5 | 14.1 |
SCM440 | 11.9 | 12.7 | 13.2 | 13.7 | 14.2 |
4-5 熱伝導率(W/m・℃)
– | 20℃ | 100℃ | 200℃ | 300℃ | 400℃ |
PX5 | 42.45(0.1014) | 42.36(0.1012) | 42.07(0.1005) | 39.22(0.0937) | 38.80(0.0927) |
SCM440 | 42.28(0.1010) | 41.61(0.0994) | 42.70(0.1020) | 39.39(0.0941) | 38.00(0.0908) |
()内:cal/cm・sec・℃
4-6 比熱(J/Kg・℃)
– | 20℃ | 100℃ | 200℃ | 300℃ | 400℃ |
PX5 | 481.4(0.115) | 489.8(0.117) | 540.0(0.129) | 552.6(0.132) | 627.9(0.150) |
SCM440 | 481.4(0.115) | 514.9(0.123) | 581.9(0.139) | 590.2(0.141) | 607.0(0.145) |
()内:cal/g・℃
4-7 ヤング率(MPa)
– | 20℃ | 100℃ | 200℃ | 300℃ | 400℃ |
PX5 | 207482(21.150) | 204048(20.800) | 198162(20.200) | 192276(19.600) | 184919(18.850) |
SCM440 | 206991(21.100) | 203067(20.700) | 197672(20.150) | 190314(19.400) | 181976(18.550) |
()内:kgf/mm平方
5. フレームハード(ふち焼)
詳細はカタログで確認してください。
かど(エッジ)部分の局部的フレームハードニングで、硬さが1.3倍になります。
6. 溶接補修
(この項は「新プラスチック型用鋼PX5 PART1(カタログNo.SC9102(NA) 02.03.1,0(NA))」そのまま掲載します。)
6-1.金型洗浄
●油脂、ゴミ、サビなどの金型表面に付着している汚濁物を、完全に除去することが必要です。
⇒ブローホールの防止、異物混入の防止などを目的とします。
6-2.開先加工
●割れ、亀裂部を完全に除去します。
●鋭角部、スリット部などは、溶接作業のやり易い形状にします。
●開先加工部は鋭角にならぬよう、最低3R以上の角慶をつけて下さい。
⇒溶接後の割れ、歪防止を目的としますら
6-3.検査
●割れ、亀裂などの残存欠陥の有・無をチェック下さい。〔カラーチェック)
●溶接作業上の不部合(鋭角部、凹部など)をチェック下さい。
●再度、油脂など付着物の有・無をチェック下さい。
⇒補修対象金型が万全であることを確認下さい。
6-4.溶接作業
(1)溶接法、溶接機
●補修溶接部の欠陥を極カ抑える意昧から、TlCによる溶接を利用下さい。この場合、直流正極性で作業を行います。
●TlG溶接機は、クレータフィラを備えた(クレータ割れ防止効果)直流溶接機を使用下さい。
(2)溶接棒
●補修後の鏡面仕上りムラ対策、シボムラの防止、溶着金属からの割れ防止のため、専用溶接棒PX5-Wを推奨します。
●溶接棒は油脂などの汚れがなく、乾燥状態にあるものを使用下さい。
(3)溶接条件
●TlGによる溶接条件は、下表を標準として下さい。
電極直径(㎜) | 溶接棒直径(㎜) | 溶接電流(A)※ | アルゴン流量(11㎜而) | ノズル孔径(㎜) |
1 | 1 | 15~80 | 4~8 | 8 |
1.6 | 1.6 | 70~150 | 6~9 | 8~10 |
2.4 | 2.4 | 100~250 | 7~10 | 8~10 |
3.2 | 3.2 | 250~400 | 10~15 | 8~10 |
※直流正極性
(4)溶接施工の主な留意点
●予熱なしのため、予熱ありの場合より高めの電流に設定して下さい。
●始端部は十分に溶融プールを形成させてから運棒を開始して下さい。
なお運棒時はウィービングを行うことを推奨します。
●終端部ではクレータ処理(溶加材の充填等)を十分に行って下さい。
●ビードを継なぐ場合、あるいは重ねる場合は先ビードの端部を確実に溶融状態にしてから、溶加材を挿入し、運棒を開始して下さい。
なおスラグ巻込み防止のためスラグは除去して下さい。
●トーチ、溶接棒の位置
トーチ、溶接棒の位置関係は、下図を参照下さい。
●電極の管理
電極に溶融金属などが付着した場合には、研磨をするか取換えて下さい。
●溶接の順序
広い面積の溶接や長い部分の溶接では、できるだけ溶接熱を分散させ発生応力を均一化させる、溶接順序の工夫が必要です。
(a)飛石法(b)対称法
(C)後退法
●作業場の風の影響
トーチ・ノズルからのシールドガス流速は0.5-2mlsec程度ですから、わずかの風にもシ→レド効果に悪影響を与えます。
風よけの囲いなども考慮下さい。
⇒ブローホールなとの欠陥防止を目的とします。
(5)検査
●外観上判然とした欠陥(割れ、亀裂、ブローホール、欠肉〕の確認を行って下さい。
⇒中間時点での品質確認を目的とします。
(6)加工
●重加工、重研削は金型表面での加工応力の発生、硬化などの悪影響を与えますので避けて下さい。
⇒研削割れ、歪防止などに必要です。
(7)検査3
●微小な割れ・亀裂やピンホールをカラーチェックにより検査下さい。
⇒補修金型の最終品質保証を実施下さい。
溶接作業方法は理解できないので、そのまま掲載しました。「新プラスチック型用鋼PX5 PART2(カタログNo.SC9204 00.10.1,0(SIS))」では、より詳しく溶接の説明があります。
7.代引とクレジットで販売しています
8.過去の見積回答
通常納期:入金確認後、4-5日程度(土、日、祭日抜き)で発送します。
PX5用溶接棒 直径1.2mm×1m=150本入り1箱、所々サビ付き
値段:28000円/1箱
梱包料:1000円
送料:1350円(前払い時)
送り先:名古屋市