スーパースターは、S-STARの事
「S-STAR（super-star）」と、カタログに1箇所だけ記載が有ります。
大同特殊鋼の期待の現れでしょうか？
このページは大同特殊鋼の「新プラスチック型用鋼 S-STAR カタログNo.SC9718a 03.04.0,5(NA)」を元に作成しました。
確実な情報が必要なときには、大同特殊鋼の最新カタログを取寄せてください。
1.位置付け
・プリハードン状態32HRCで供給
・この硬さでの使用も可能ですが、焼入・焼戻しにより53HRCが得られ、いずれも耐食性と鏡面性に優れています。
2.対抗馬
SUS420J2でしょうか。
3.特長
(1)良好な耐食性(マルテンサイト系ステンレス鋼)
(2)熱処理硬さ;最高53HRC(103rC焼入れ)
(3)超鏡面性
(4)熱処理変寸極小(前処理を施すことにより±α01%以内)
(5)内質が均質健全
(6)良好なシボ加工性、EDM性
(7)プリハードン(32HRC)での使用も可能
4.素材形状
素材：黒皮丸棒のみ確認
プレート：不明
5.S-STARの主な用途
| 形 成 材 | 製 品 例 |
| PMMA,PC,EP,PP, PS,PVC,PE,PF, 難燃剤入り, |
耐食・超鏡面・高硬度プラスチック金型、 光学レンズ用金型、 医療機器用金型、化粧容器用金型、食品容器用金型 耐食性を要する冶工具類…EDMバイス材 |
6.数値
6-1 化学成分
| 大同記号 (JIS) |
納入状態 (硬さ) |
C(％) | Si(％) | Cr(％) | Mo(％) | V(％) |
| S-STAR (SUS420J2改良) |
プリハードン (31～34HRC) |
0.38 | 0.9 | 13.5 | 0.1 | 0.3 |
6-2 機械的特性
6-2-1 焼入れ焼戻し硬さ
特徴：硬さは最高53HRCが得られます。
6-2-2 熱処理変寸
特徴：200～40ぴCの間の変寸は±0.03%以内に入り、極めて小さくなります。
試験方寸法:30x100x150L(プリハードン状態32HRC) 焼入条件：1030℃ x60分真空炉ガス冷却
熱処理推奨条件
熱処理変寸重視の場合：焼入温度1030℃、焼戻し温度200～400℃ （硬さ：52～53HRC）
ワイヤー放電加工割れ対策の場合：焼入温度1030℃、焼戻し温度490～510℃
6-2-3 耐食性
・特徴:良好な耐食性(マルテンサイト系ステンレス鋼)
・耐食’性は低温戻し(200～400℃)で特に良好です。
・水錆については焼戻し温度に左右されず、特に優れた特性を有します。
6-2-4 機械的特性
| 硬さ(HRC) | 32 | 53 |
| 引 張強 さ(N/耐) | 1100 | 1940 |
| 0.2% 耐 力(N/耐) | 890 | 1540 |
| 伸 び(%) | 15 | 9 |
| 絞 り(%) | 55 | 28 |
| 衝撃値2uE20℃(J/C㎡) | 60 | 25 |
6-3 物理特性
・熱膨張係数（×10-6/℃）
| 20～100℃ | 20～200℃ | 20～300℃ | 20～400℃ |
| 10.8 | 11.1 | 11.3 | 11.5 |
・熱伝導率（W/m・K)
| 20℃ | 100℃ | 200℃ | 300℃ | 400℃ |
| 23.0 | 23.4 | 23.9 | 24.7 | 25.1 |
・縦弾性係数（N/m㎡）
| 20℃ | 100℃ | 200℃ | 300℃ | 400℃ |
| 214500 | 212500 | 209500 | 200000 | 190000 |
・比重
| 20℃ | 100℃ | 200℃ | 300℃ | 400℃ |
| 7.80 | 7.78 | 7.75 | 7.73 | 7.70 |
・比熱（J/kg・K）
20℃：460J/kg・K
6-4 仕上性
特徴:組織・硬さが均一で、優れた鏡面仕上り性
■鏡面みがき性(マシンラップでの評価)
| 硬さ(HRC) | 鏡 面 度 | 用 途 | |
| S-STAR | 31～34 | Max#7000 | 半透明晶 |
| S-STAR | 50～53 | Max#14000 | 超鏡面品 |
| PX5 | 30～32 | Max#6000 | 汎用意匠晶 |
| PD613 | 58～61 | Max#11000 | 透明外装品 |
7. S-STARの溶接
| 熱処理状態 | 溶接棒(TIG用) | 予 熱 | 後 熱 |
| プリハードン(32HRC) | AWS:ER420(JIS SUS420J2) | 200～250℃ | 650℃ |
| 焼入焼戻し(52HRC) | AWS:ER420(JIS SUS420J2) | 200～250℃ | 510℃×2回(放電加工割れ対策) 250℃×2回(耐食性重視・熱処理変寸重視) |